【演技のコツ】台本のセリフを覚えるだけ?俳優がやるべき準備とは?

12月 25, 2021

【演技のコツ】台本のセリフを覚えるだけ?俳優がやるべき準備とは?

 

先日の記事で、撮影に向けた俳優の心構えとして、「準備が大切」になる理由を書かせていただきました。

 

前回の記事はコチラへ!

 

今回は、その続きです。

 俳優が撮影に向けて必要な準備作業とはどんなものか?

 どのような準備をすれば良いのか?

といったことについて、ご紹介していきます!

 

これから俳優になろうと考えている方や、まだ経験の浅い俳優の方々に、少しでも有益な情報をお伝えできれば僕も嬉しいです。

 

ぜひ最後までお読みください!

こんな方におすすめ

  • 俳優になりたい方
  • 俳優がやるべき準備作業について学びたい方

 

【演技のコツ】台本のセリフを覚えるだけ? 俳優がやるべき準備とは?

俳優が撮影に向けて必要になる準備作業ですが、結論から言えば……

考えられることは、全部やってみよう!

と、なります。

 

しかしこれではあまりにざっくりしているので、もう少し具体的にお伝えしていきたいと思うのですが……

 

その前に!

大前提としてお伝えしておきたいことがあります。

それは、演技に対する考え方はさまざまなものがある、ということです。

 

演技に対する考え方は、さまざまなものがある

 

つまり、世の中にごまんといる監督・演出家の数だけ演技に対する考え方があると言っても過言ではないでしょう。

 

ですので、ここでお伝えできるのは、あくまで僕個人の考え方です。

そして、俳優は、撮影現場ごとに異なる要求に応えていかなければいけない職業なんだってことです。

 

ものづくりは、そもそもどんな場でも通用する正解など無い仕事ですから、みなさんその都度最大限の努力をしながら格闘しているのだと思います。

 

そんなわけで、これを読んでくださっているみなさんには、もしかしたら今後の仕事で役立つときがくるかもしれない……としか言えないですが、僕が考える「準備作業」について、具体的にお伝えしていきたいと思います!

 

俳優に必要な準備作業とは?

【演技のコツ】台本のセリフを覚えるだけ?俳優がやるべき準備とは?

 

僕が考える、俳優がやっておくと良い準備作業は、以下のとおり。

 

俳優がやっておくと良い準備作業

セリフを覚える

物語の背景を考える

演じるキャラクターの設定を考える

演じるために必要なことがあれば、準備・練習する

 

以上です。

 

どうでしょうか?

もしかすると、「意外と簡単そうだな」って思われた方もいらっしゃるかもしれませんが……前回の記事でお伝えしたとおりあまり時間がないなかで行うことになる準備作業ですから、やはり大変な部分はあるんじゃないかと思います。

 

俳優さんって、ほんとにご苦労が多い職業だと思います。

だからこそ、尊敬しますし、スタッフである僕も負けないように頑張りたいなと思わされます。

 

それでは、ひとつずつ細かく見ていきたいと思います。

 

セリフを覚える

【演技のコツ】台本のセリフを覚えるだけ?俳優がやるべき準備とは?

 

舞台作品であれば、稽古の時間がたっぷりある場合がほとんどですから、初日から100%セリフを入れておく必要はないと思います。

 

というか、稽古初日に台本が途中までしか出来上がっていない、という場合だってけっこうあると思いますし(笑)

 

一方、撮影現場では、セリフをうろ覚えで現場に入った場合、地獄が訪れます……。

セリフを言えない俳優(あなた)のせいで、撮影が予定通り進まず、俳優(あなた)は焦れば焦るほど芝居は空回り……監督は妥協した末に、俳優(あなた)に求めることをあきらめて、「はいオッケー」と小さくつぶやく……

そんな、これを地獄と言わずしてなにを地獄と言うのか、というほどの悲しい結末がやってきてしまうわけです。

そんな事態を避けるためには、まずは、セリフをしっかり入れることが最重要課題となります。

 

まずは、どんな状況でも正しくセリフが言えるように準備しましょう!

 

物語の背景を考える

【演技のコツ】台本のセリフを覚えるだけ?俳優がやるべき準備とは?

 

経験の浅い俳優さんの場合、もしかするとセリフを覚えるだけでもいっぱいいっぱいになってしまうかもしれませんが……それだけの準備では、やはりもったいないと僕は思います。

セリフを覚える以上の準備・努力にどれだけ時間をかけるかが、まだ経験の浅い俳優にとって、撮影現場で集中して演技をする上で大切になると思うからです!

 

というわけで、まずは「物語の背景を考える」ことをおすすめしたいと思います。

 

台本にはさまざまなタイプのものがありますが、時代劇やファンタジー作品などに限らず、その物語の背景となる時代や世界観を理解しておくことは、とても大切な作業です。

少なくとも、台本に出てくる言葉やシチュエーションが理解できない場合には、しっかり調べて理解しておく必要があります。

なぜなら、あなたはその時代・世界観のなかで生きている人物を演じるのですから、その人物が知っていることは、やはりあなた自身も理解しておくべきではないかと思います。

いかがでしょうか?

 

わからないことは、ググってもいいでしょうし、さらに辞書で調べたり、書店や図書館で参考文献にあたったり、あるいは経験者に話を聞いたりしてもいいかもしれません。

 

そういった準備の時間は、きっと「仕事のため」だけでなく、あなたの人生の財産になるはずです。

 

楽しみながら準備したいですね!

 

演じるキャラクターの設定を考える

【演技のコツ】台本のセリフを覚えるだけ?俳優がやるべき準備とは?

 

次に、自分が演じるキャラクターの設定についても、さまざまことを考えておくと良いと思います。

 

これは自分が脚本を書く場合のことを考えながらアドバイスさせていただくのですが……

たとえば、多くの脚本家は、登場人物の履歴書や家族構成などをしっかり考えてから脚本を書いています。

仮に主人公の子供時代が物語で直接描かれることがなかったとしても、その主人公の人格形成に子供の頃に飼っていたペットの存在が大きく影響した、と脚本家がイメージするなら、当然そのペットの名前を考えます。

繰り返しますが、最終的に脚本上はそのペットの名前がいっさい出てこなくても、です。

主人公がどうやってそのペットと出会い、どのような(人格形成に影響する)出来事があって、最後にペットと別れたのはどのようなシチュエーションだったのか? などなど、脚本家はそうした背後の設定を掘り下げながら、物語を紡いでいくのです。

 

もちろん、監督や脚本家に事前に聞けるなら聞いた内容をヒントにしてさらに深掘りしていけば良いと思いますし、事前に話ができない場合でも、脚本から読み取れる情報を頼りに、できる限りキャラクターのいろんな背景を想像しておくと良いと思います。

 

こういう設定をさまざまに想像してみる作業って、僕は俳優さんにとってもけっして無駄な作業にならないと思うんですよね。

あなたはどう思いますか?

 

注意したいポイント

ここでひとつ、注意しておきたいポイントを合わせてお伝えしておきます。

上記のような手順で、キャラクターの背景を想像していくなかでありがちなのが……勝手な解釈で突飛なアイデアや設定を決めつけてしまって、その勝手な解釈のまま芝居を作り込んでしまうこと!

 

僕がお伝えしたいのは、あくまで脚本から読み取れる情報を頼りに「想像すること」です。

また、もしも脚本から読み取れる情報がほとんど無い場合には、描かれているキャラクター設定を尊重した上で、さまざまな可能性を考える、ということです。

その場合、Aパターン、Bパターン、Cパターンと、複数の可能性を考えておくことも有効かもしれません。

 

加えて言えば、今回お伝えしている準備作業は、よく言われる「役作り」とは違う、と僕は考えています。

役作りには、どこか「その役になりきる」というイメージがあって僕は好きな言葉ではありません。

 

俳優が、演じる役柄に「なる」なんてことが可能だと思いますか?

僕は、そんなことは不可能だと思います。

 

ですので、役を作り込む作業ではなく、キャラクターの設定がどんなものかいろいろ想像してみましょう、という話だってことを強調しておきたいと思います。

大切なのは、その役柄に「なる/なりきる」ことではなく、その役柄を「深く理解すること」です!

 

もちろん、役になりきるという意味での「役作り」が推奨される演出・現場もあるってことを、合わせて忘れないようにお伝えしておきます。

 

演じるために必要なことがあれば、準備・練習する

【演技のコツ】台本のセリフを覚えるだけ?俳優がやるべき準備とは?

 

最後は、そのキャラクターを演じるにあたって必要な準備・練習についてです。

これは、単純でわかりやすいかと思います。

 

あなたの演じるキャラクターが、スポーツをしたり、楽器を演奏したりするシーンがあれば、当然そのスポーツや楽器を事前に練習したりする準備が必要になります。

これはさまざまケースが考えられますね。

標準語や、特定の方言が必要な場合もあるでしょう。

あるいは、タバコを吸うシーンがあるかもしれません。

ダンスシーンがあるかもしれません。

車を運転するシーンがあるかもしれません。

乗馬するシーンがあるかもしれません。

酔っ払って嘔吐するシーンがあるかもしれません……。

 

このように、さまざまなシチュエーションが考えられます。

それらを演じるために、あなたが事前にやっておける準備・練習は、できる限りしておきたいですよね。

 

さらに言えば、車の運転や、乗馬や、ダンス・舞踊、歌唱練習など、役が決まる前から、日常的に意識して「いつか役が決まったとき」のために準備しておくことも大切だと思います。

 

俳優を目指している、と言いながら、発声練習すらまともにやったことがない……そんな残念なタイプの人にならないように気をつけてくださいね!

 

なお、繰り返しになりますが、僕が言っているのは役になりきるという意味での「役作り」ではありません。

そうではなく、あなたが撮影現場でより集中して演技をするための準備についてです。

 

殺人犯の役をやるなら人を殺さないといけないんですか? みたいな極論にはまったく興味がありませんので、ご理解いただければと思います!

 

どうして準備が必要なのか?

【演技のコツ】台本のセリフを覚えるだけ?俳優がやるべき準備とは?

 

さて、ここまで具体的な準備作業について長々と書いてきましたが……

あらためて、僕がこうした準備が必要だと考えている理由をお伝えします!

 

それは……

しっかり準備に時間をかければ、それが、あなたの自信になるから

です。

 

準備に時間を掛ければ、それが自信になる

俳優という職業は、さまざまな現場ごとにまったく異なる要求をされる可能性があるなかで、それでも、その都度そうしたさまざまな要求に臨機応変に対応していかなければならないものです。

そのうえ、カメラの前に立つ俳優(あなた)は、多くのスタッフが固唾を飲んで見守る緊張感のなか、それでも(演技のために)心を開き、傷つくことも厭わず、監督やスタッフを納得させる演技をしなければなりません。

 

そんな、ただでさえプレッシャーが多い仕事です。

ですから、緊張感を持ちつつも、集中して撮影現場に挑むためには、少しでも自分を不自由にする荷物は捨てておいた方が良いのではないかと、僕は思います。

その、自分を不自由にする荷物が、

セリフはちゃんと言えるか?

失敗せず演技できるか?

迷惑をかけないか?

などの不安です。

 

完全に不安を取り除くことは不可能だとしても、自分はこれだけ準備してきたんだ、と思える自信は、きっとあなたの味方になると思うのです。

 

僕は高校生の頃バスケ部だったんですが、コーチから「練習で出来ないことが、試合でできるわけない」と言われた言葉が強く印象に残っています。

俳優もそれと同じとは言わないですが……プロが集まっておいて、「本番になれば、たった一度の奇跡的な演技が撮影できる」と考えるのはあまりにもお気楽だと思いますし、準備したからこそ叶う奇跡的な演技こそ本当に感動的なものだと思います。

 

あなたが費やした準備の時間は、きっとあなたの自信として積み上がっていくはずです!

 

ぜひ精一杯の準備作業をしていきましょう!

もちろん、僕も常にそう心がけていきたいと思っています!

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、これから俳優になろうと考えている方や、まだ経験の浅い俳優さんに向けて、「撮影前にどのような準備をすれば良いのか?」を具体的に書かせていただきました。

 

(もちろんセリフをしっかり入れるだけでもかなり大変な作業だとは思いますが)セリフを覚えるだけではなく、ぜひとも物語の背景を想像したり、自分が演じるキャラクターの設定をしっかり理解するために考えたり……やれることは全部やってみてください!

 

そうやって経験を積んでいけば、「この準備は自分には必要ないな」など、自分にとって必要な準備作業の判断もつくようになっていくと思いますし、どんどんシンプルに「やるべきこと」が見えてくるようになると思います。

 

そして……その積み重ねが、きっと、あなたという俳優を形作っていくはずです!

 

あなたに与えられた役は、世界でただひとり、あなただけが演じられる役柄です。

ぜひ、後悔のないよう、精一杯の準備をして撮影本番に挑んでいただければと思います!

 

というわけで、今回は以上「【演技のコツ】台本のセリフを覚えるだけ?俳優がやるべき準備とは?」でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

それではまた。

 

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