今回は、「俳優になりたい」「映画・エンタメ業界の仕事がしたい」と考えている方に向けて、おすすめ映画『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』をご紹介させていただきます。
こんな方におすすめ
- 俳優になりたい方
- 映画・エンタメ業界の仕事がしたい方
- 面白い映画が観たい方
『SHE SAIDシー・セッド その名を暴け』|おすすめ映画レビュー
今回ご紹介するのは、2023年に公開され大きな話題を呼んだ映画『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』。
その内容は、実際の事件──数多くの大ヒット映画を手がけてきたアメリカの映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインによる性的暴行を告発したふたり女性記者の回顧録をもとにした社会派ドラマです。
主演は、キャリー・マリガンとゾーイ・カザン。
製作を手がけているのは、ブラッド・ピット率いる映画製作会社「プランB エンターテインメント」です。
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それでは、順番に見ていきましょう!
『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』
映画『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』の監督は、マリア・シュラーダー、脚本は、レベッカ・レンキェビチ。
出演は、キャリー・マリガン、ゾーイ・カザン、パトリシア・クラークソン、アンドレ・ブラウアー、ジェニファー・イーリー、サマンサ・モートン、アンジェラ・ヨー、アシュレイ・ジャッド、など。
あらすじ
ニューヨーク・タイムズ紙の記者、ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターは、映画製作会社「ミラマックス」の大物プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインが数十年にわたって続けてきた性的暴行について取材を始める……。
すると、ワインスタインがこれまでに何度も自らの性的暴行を示談金によって揉み消していたことがわかって……!?
一方、示談に応じた被害女性たちは「証言すれば訴えられる」という恐怖や当時のトラウマによって取材に応じようとしない。
ふたりの記者ミーガンとジョディは、ワインスタイン側からの妨害を受けながらも、真実を追い求めて奔走するが……!?
おすすめポイント
映画の原作となった回顧録『その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』(著:ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー)は、長い時間をかけて調査取材する記者たちの苦悩と格闘の記録が綴られたもので、それを丸ごと映画にするのはかなり難しいのですが……本作は、まずその難題を大胆な省略やテンポでうまくクリアし、映画としてもとてもよく出来たものになっています。
さらに、原作では表に出てこない記者ふたりの私生活・生き方などが丁寧に描かれることで、映画自体の主題が明確になり、力強い問いかけが観客にも届けられていると感じました。
映画を観る
『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』の見どころは?
そして、そんな映画をもっとも輝かせているのが主演のふたり、キャリー・マリガンとゾーイ・カザンです。
ゾーイ・カザンは僕もずっと大好きな俳優ですが、今作ではキャリー・マリガンにも大いに目を奪われました。
キャリー・マリガンは、大絶賛された主演映画『17歳の肖像』(2009年公開)が個人的にそれほどピンとこなかったこともあってこれまであまり興味を持てなかったのですが、華奢な体に抱えたさまざまなプレッシャーとストレスを低いトーンの声で演じる姿に魅了されました。
しかしながら、そんな素晴らしい主演ふたり以上に驚かされたのが、被害女性ローラ・マッデン役を演じたジェニファー・イーリーのなんとも奥深い演技。
かつての性暴力によって「声を奪われた」女性の生き様が、その慎ましやかな微笑みの裏側にずっと埋め込まれているという複雑な存在感を見事に演じている姿に心底驚きました。
誰もが「性」によって抑圧されない社会
本作の主人公ふたりは、どちらも女性であり、妻であり、母親です。
モデルとなった実際の記者ふたりの属性をそのまま映画にしているので、とくに映画のためにアレンジされた設定というわけではありませんが、「女性」であり「妻」であり「母親」であることが、この物語をより力強いものにしているのは確かです。
幼い娘たちを愛おしく見つめる主人公たちは、映画業界に限らずこの社会全体が抱え持つ「強いものが弱いものを抑圧する構図」であったり、「金によって被害者の声を揉み消すことができる社会システムそのもの」を目の当たりにして、最後まで楽観的・希望的な未来を見出すことはできません。
けれど、それこそが私たちの生きている現実なのかもしれません。
では、どうしたらいいのか?
私たちひとりひとりが出来ることはなんなのか?
その答えは、やはり私たちひとりひとりが考え続けることでしか見出すことは出来ないのでしょう。
そして、この映画の主人公たちのように、それでも願いを手放さないことがきっと次の一歩に繋がると信じて。
『その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』
映画の原作となったのは、『その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』(著:ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー)。
原作に書かれている大まかなか経緯は映画で描かれたとおりですが、ワインスタインの事件とともに、トランプ元大統領に対する数多くの性暴力疑惑や、ブレット・カバノー最高裁判事候補にかつて性暴力を受けたとしてクリスティン・ブレイジー・フォードが告発することになる経緯など……アメリカの社会情勢と密接に関わりながら推移していくそれらの事件を、ふたりの記者が膨大な時間と労力をかけて丹念な調査取材を行い、加害者側との駆け引きが行われていく様が丁寧に記された読み応えのあるノンフィクションです。
そんな本書は、結果的に#MeToo運動を世界的に拡げ、社会を変える報道となりピュリッツァー賞を受賞したわけですが……記事作成・公開に至るまでに記者たちが直面した数多くの苦悩は、いまもまだ解決したとは言えません。
だからこそ、ジョディ・カンターとミーガン・トゥーイーが精一杯の想いを込めて綴った言葉が心に残ります。
自分の体験を公表したらどうなるかなど、予想できた者はひとりもいない。
先を見通すことなどに意味はない。
話が公に語られたとたん、それからどうなるか、だれがそれを読むのか、ほかの者がそれを真似たり、付け加えたり、反対したりするかなどわかりはしないのだ。
認められる保証もなければ社会に衝撃を与える確証もない。
苦痛の伴う結果になることもあれば、人々に力を与えることもあるかもしれない。その両方が同時に起きるかもしれない。
しかし、この部屋にいるひとりひとりが、そしてもっと大勢の人々が、わかっているのだ。
「話を公表しなければなにも変わりはしない」ということを。
そして、著者あとがきはこんな言葉で締めくくられています。
わたしたちの娘たち、そしてみなさんのお嬢さんたちへ。
あなたがたが職場やそのほかの場で、必ずや敬意を払われますように。
まとめ
最後に。
映画やエンタメ業界は、本作で描かれたように「力のあるものによって弱いものが抑圧される」というパワーバランスが起きやすい場だと思われます。
ですからこの日本でも、とくに「俳優になりたい」という夢を抱いている若い方などは、「ハラスメント」には出来る限り敏感になって、おかしな人とは関わり合いにならないよう充分ご注意ください。
というわけで、今回は以上「『SHE SAIDシー・セッド その名を暴け』|おすすめ映画レビュー」でした。
最後までお読みいただきありがとうございました!
それではまた。
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