アユタヤ観光に行ったり、美味しいタイ料理を食べたり、僕とあひる師匠のタイ旅行はいろいろなハプニングもありつつとても楽しく過ぎていきました……。
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はじめてタイ旅行に行った男(4)恐怖!バンコクの吸血鬼!?
別の日には、カオサン・ロードに行ったり、スーパーマーケットでお土産を購入したり、路地のバーで猫に遭遇したり、タラート・ナット・ロット・ファイ・ラチャダーというナイトマーケットへ行ってみたり。
カオサン・ロードとラチャダー・マーケット
どれもこれもが新鮮で、楽しい時間はあっという間に過ぎていきます……。
恐怖! 暗がりの先にいた怪しい女は……!?
そんなある日の夜、僕たちはBTSサラディーン駅近くの食堂で夕食を食べることになりました。
例によって、あひる師匠が調査の末に見つけ出してくれたそのお店は、駅を出てすぐ、小さな路地の暗がりの先にありました。
怪しい暗がりを、あひる師匠がぐんぐん進んで行きます。
僕は、なにか恐ろしいことが起こるんじゃないかとビクビクしながらその後を追います……。
すると、暗い路地を進んだその奥に、若い女が佇んでいます。
とっさに身構えた僕に、女は笑顔で手招きしています。
まだ10代でしょうか……。
若いです。
けれど……怪しい!
ま、ま、まさか、アレが噂の……!?
ついに、このときが来た!
僕は、怯えながらも、小さくあひる師匠に問いかけました……。
そうです。
すでにこのブログでも書きましたが、タイのレディボーイはほんとうに美しいと言われているのです。
その証拠に、こんな動画を見つけました。
つい先日開催されたという、タイでもっとも美しいニューハーフを決める美人コンテストで優勝したディアさんです。
さすがに優勝しただけあって、キレイですよね。
こんな人を街角で見かけても、僕には「彼女はレディボーイだ!」と断言できる自信がまるでありません……。
もちろん、僕はレディボーイやニューハーフに対して偏見は持っていないつもりではありますが、それでも、「性別がどちらかわからない」という状態は、なぜかいたずらにドキドキさせられてしまうのです。
そんなわけで、僕は暗がりの先で手招きする女を見て、ひどく狼狽しながらあひる師匠に問いかけたのでした。
すると、あひる師匠はカッと目を見開いて、厳しい口調で僕に言いました。
なんということでしょう。
よく見れば、少女と言ってもいいような年頃で、まだあどけなさが残る素朴な雰囲気の女の子ではないですか!
暗い路地の先で手招きしていたのは、僕たちが向かっていた食堂のウェイトレスの女の子だったのです!
優しい笑顔の女の子で、恥じらうように僕たちを店のなかに案内してくれます。
と思いながらも、ホッと脱力してその店を見渡すと、広くて天井が高い、とても居心地がいい食堂です。
店の名前は覚えていませんが、注文した料理もどれも美味しくて、僕とあひる師匠は大満足しながら会話と料理を楽しむことになったのでした……。
恐怖! バンコクの吸血鬼に襲われて……!?
ところが!
僕とあひる師匠が美味しいタイ料理に大満足しながら、会話を楽しんでいたら……なにやら不穏な響きが、かすかに聞こえてきました。
ぶ〜ん……ぶ〜ん、ぶ〜ん……。
ぶ〜ん……ぶ〜ん、ぶ〜ん……。
蚊が飛んでいます。
ぶ〜ん……ぶ〜ん、ぶ〜ん……。
蚊です。
ぶ〜ん、ぶ〜ん……ピタッ。
ふいに、蚊の音がやみました。
……チュー、チュー。
ん?
これはなんの音だ?
チュー、チュー?
あれ? なんか、足が痒いような……。
なんと、さきほどまで飛んでいた蚊は、僕の足に止まってチューチュー血を吸っていたのです!
あひる師匠の豆知識!
やられてしまいました……。
ここ数日のあいだ、大きなトラブルもなく旅が続いていたからでしょうか、油断していた僕は、ついに命の危機へと追い込まれることになってしまったのです……。
なんということでしょう。タイには、やはり心配していたとおり、命の危険がいっぱいあったのです!
もしかしたら……僕はこのままデング熱が発症し、タイの病院に入院して、そのまま、高熱にうなされながら、はるか遠い故郷を思って死んでいくのかもしれません……。
まさか、自分が「蚊に刺されて死ぬ人生」をおくるとは思ってもみませんでした。
誰もがいずれは死ぬとはいえ、このパターンは想定外です。
ショックのあまり、そんな後悔が胸に押し寄せてきます……。
すっかり酔っ払って赤ら顔になったあひる師匠が、僕に向かって言いました。
なんと魅惑的で、恐ろしい響きなんでしょう。
どうやら、僕とあひる師匠のタイ旅行は、唐突にもクライマックスを迎えようとしているようです……。
(つづく)
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