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シリーズ初体験‼︎ 海外旅行

はじめてタイ旅行に行った男(3)激辛タイ料理!

7月 20, 2019


タイ旅行_2018−3

 

楽しいアユタヤ観光を終えた僕とあひる師匠は、ロットゥーに乗ってバンコクに戻ったのでした……。

 

前回の記事はコチラへ!

 

はじめてタイ旅行に行った男(3)激辛タイ料理!

大型ショッピングセンター・サイアムパラゴン。

大型ショッピングセンター・サイアムパラゴン。

 

この日は、BTSチョンノンシー駅の近くで夕食をとることになりました。

熱中症の危機から復活したあひる師匠が、まるで常連客のような口ぶりで案内してくれたのは、レックシーフードというお店です。

 

美味しいタイ料理

 

ここだ! この店が安くて美味いんだよ!

 

ところで、タイはもちろん基本的に日本語は通じませんし、僕もあひる師匠タイ語はもちろん、英語もほとんど中学生レベルです。

そのうえ、多くのタイ人が使う英語は、語尾が消える感じになる独特な口調なので、英語でのやりとりもかなり怪しいと言わざるを得ません。

それでも身振り手振りを交えながら、ほとんど問題なくコミュニケーションできているのは、なんといっても海外旅行の楽しさだなぁと思います。

 

そんなわけで、食事のときもメニューを指差しながら、怪しい英語で注文です。

 

ディス ワン アンド ディス ワン……あー、アンド シンハービア プリーズ! スパイシー オッケー!

 

適当ですね。

でも、こんな感じでもまったく問題なく、なんとなく通じるのが楽しいんですよね。

 

そして、あひる師匠が調べあげてくれたオススメ店の料理は、どれも美味しくて大満足! 店員さんも親切で、気持ちいい時間となりました。

 

いやぁ、タイ料理ってほんとうに美味しいですね!

 

そうだな……だけど、ちょっと足りない。

 

え? 足りないって……?

 

うむ。たぶん、これだな。これを、もうちょっとかけてみようか……うん、こっちも。

 

そう言いながら、あひる師匠は卓上に置かれていた唐辛子ナンプラーをどんどん料理にふりかけていきます。

 

え!? そ、そんなにかけて、大丈夫ですか?

 

大丈夫だ!

 

でも、唐辛子で真っ赤になっちゃいましたよ?

 

なに言ってんだ! ふりかけるために置いてあるんだから、ふりかけなきゃダメだろ! こうしたほうがぜったいに美味いんだよ!

 

はぁ……。

 

ただでさえ辛いタイ料理を、超激辛にアレンジしたあひる師匠は、躊躇なくそれを口に運ぶと、嬉しそうな笑顔でモグモグしています。

 

うん、やっぱりこっちのほうが美味い! これくらいかけたほうがいいんだよ!

 

そ、そっか。それは良かった……。

 

そうして、気持ちよく酔っ払い、お腹いっぱいになった僕とあひる師匠

 

すると突然、あひる師匠が思いがけないことを言いました。

 

なんか……無理して辛いもの食ったから、頭が痛くなってきたな……。

 

え、えぇ〜っ!

 

なんというか、もう、いろいろツッコミたいことばかりですが……でも、目の前で苦痛に顔を歪めるあひる師匠を見ていると、心配にもなってきます。

 

……あんなに唐辛子かけて……やっぱり無理してたんですね……。

 

ああ、酒も飲みすぎたしな……ズキズキするな。ヤバいぞこれは……。

 

どうします? ホテルに戻りますか?

 

あぁ、そうだな……でもその前に……。

 

その前に?

 

俺は、タロイモのアイスを食う。

 

タロイモのアイス?

 

ああ、タロイモのアイスだ。美味いんだよ。

 

でも、頭が痛いんですよね?

 

頭は痛い。だが、アイスは食う!

 

そんな、また無理してるんじゃ……?

 

バカヤロウ! 食後のデザートは必要だろ!

 

そ、そうかもしれませんけど……。

 

それに、辛いものを食ったから、いまは甘いものが食いたいんだよ!

 

……。

 

いったい、この人はなにを言い出したんでしょうか……?

僕は、思わず呆れてよくわからない気分になりながらも、なぜかその一方で、まったく違う感情が湧き上がってくるのを感じていました……。

 

どういうわけかわかりませんが、静かな感動がジワジワと胸を満たしてきたのです。

 

その理由は、苦痛のなかでも、おのれの欲望のままに生きようとするあひる師匠の姿です。

 

まるで子供のようなそのふるまいは、この光と陰がごちゃまぜになったバンコクという大都市の喧騒のなかで、なにかとても正しいものとして輝いて見えたのでした。

 

弱くて、情けなくて、カッコ悪くて、むき出しで、欲望まみれな、ありのままの人間の姿に、僕はほとんど涙腺が崩壊するのではないかという感動を覚えて、震えながら声をしぼり出しました。

 

あひる師匠!……わかりました、食べましょう! タロイモのアイスを食べましょうっ! 僕は、ココナッツのアイスを食べますっ!

 

うむ。じゃあ、そうしようか。

 

はい!……あ、すいませーん。注文いいですか? ディス ワン アンド ディス ワン プリーズ!

 

そうして、やがて運ばれてきたタロイモとココナッツのアイスは、

 

こんなのどうやって食べるんだよ!

 

っていうくらいカチンコチンに冷えていて、なんだか僕たちの感動と欲望は、なまぬる〜い感じにバンコクの夜へと溶けて消えていったのでした……。

 

(つづく)

 

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  • この記事を書いた人

Asano Yukiyasu

▶︎映画監督・脚本家|映像制作をやっています。 ▶︎株式会社ノックアウト所属 ▶︎ご連絡はemmanuel.seisaku@gmail.comまで!

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